不眠症や日中の眠気の原因となる病気です

むずむず脚症候群は足の裏やふくらはぎ、太ももなどに不快感が起こり、じっとしていられなくなる病気で、レストレスレッグス症候群とも呼ばれています。

脚の違和感が特徴的な症状

患者さんによって症状の訴え方はさまざまですが、よく聞かれるのは「足の中を虫が這うような感じがする」「痛い」「かゆい」などの、なんともいえない不快感です。

夕方から夜にかけて症状が起こり、特に寝床に入ってから最も症状が現れやすいのが特徴で、そのために睡眠が十分にとれず、不眠に悩まされることが多くなります。

この病気の歴史は古く、17世紀ごろからその病態が知られていましたが、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)と名づけられたのは、1960年代になってからのことです。

これまで日本人では、患者は極端に少なく、あるいはほとんどいないのではないかと言われており、疾患の知識もほとんど普及していませんでした。そのため、医療機関を受診しても「末梢神経の障害」や「坐骨神経痛」などと診断されることも多くありました。

むずむず脚症候群の診断基準

むずむず脚症候群の診断は、国際RLS研究班(International restless legs syndrome study group)が考案した診断基準に従って行います。以下の4つがその必須項目です。

神経内科で診断を受ける

  1. 不快な下肢の異常感覚に伴って、足を動かしたいという強い欲求が起きる。
  2. 症状が、寝ている状態や座ったりしている状態でも始まる、あるいはひどくなる。
  3. 症状は、体を動かすことによって改善、または治まる。
  4. 症状は、日中より夕方から夜間にかけて強くなる。

一般に、睡眠に関連した疾患であることから、睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)などの検査が必要な疾患だという風潮がこれまでありましたが、そういった検査をしなくても上記の4つの基準を満たせば診断できるとされています。

また、1週間の足の不快な感覚の程度や動き回りたい欲求の程度、睡眠の障害や日中の疲労感、眠気を聞くことにより重症度がわかり、治療効果の判定にも活用されます。

皮膚の乾燥による"かゆみ"とは区別が必要です
高齢になると皮膚が乾燥してかゆみが起こりやすくなります。特に空気が乾燥しやすい冬は、かゆみに悩まされる人が多くなります。

こうしたかゆみは、皮膚の表面に起こるものです。通常、保湿剤を塗ってスキンケアしたり、室内の乾燥を防ぐなど、日常生活の中で注意することで改善します。

一方、むずむず脚症候群の不快な症状は、皮膚の表面ではなく、足の内部に起こります。症状が重い人には「足の中に手を入れてかき回したい」と表現する人もいるほどです。

むずむず脚症候群の場合は、睡眠障害を専門にしている医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。もし、近くに睡眠障害の専門医療機関がない場合や、精神科もしくは神経内科に相談してみましょう。

日本人のむずむず脚症候群の有病率は2〜4パーセント

しかし、最近になって日本人でも2〜4パーセントの方が、この病気に悩まされていることが明らかになってきました。男性に比べて女性は1.5倍多いというデータもあります。

睡眠不足になる女性

この病気は運動に関する情報を脳に伝えるドーパミンという物質の機能低下がおもな原因と考えられていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。

また、パーキンソン病や腎不全、鉄欠乏製貧血などに発症する二次性のむずむず脚症候群の有病率は、欧米とほぼ同程度とされています。加えて、この病気がQOL(生活の質)を阻害するだけでなく、抑うつを生じる可能性があるということも明らかにされており、無視できない病態だととらえられるようになってきました。

そんな状況のなか、2010年1月には、国内初となる治療薬「ビ・シフロール」の保険適用が承認されました。75%以上の患者に症状の改善が見られ、また副作用も少ないのが特徴です。同剤の承認により、日本人における病態研究がさらに加速し、診療体系が決まると期待されています。