高齢者に多い不眠

「眠れない」という症状を訴えて、医療機関を訪れる高齢者は増えています。なぜ高齢になると、不眠になるのでしょうか、まず高齢者の睡眠と若年層のそれと比較してみましょう。

高齢になると、床についてから実際に眠るまでの時間が長くなります。また、睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、後者はさらに、深いノンレム睡眠と浅いノンレム睡眠に分けられます。

高齢になると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えます。その結果、途中で目が覚めることが多くなるのです。実際に眠っている時間は、若年層の70〜80%といわれています。また、高齢になると睡眠の質が変わるのは、次のような理由からです。

体が必要とする睡眠時間が少なくなる
高齢者は体の成長が終わっているので、成長に関わる深い眠りをそれほど必要としません。また、日中の活動量が減るので、疲労回復のために睡眠も少なくなります。そのため、体が必要とする睡眠時間が、若いころに比べて少なくなります。

体内時計の変化
通常、体内時計は25時間周期で、太陽の光によって24時間周期に調整されます。ところが年をとると、体内時計の周期が25時間以下になるため、自然と早寝早起きになります。また、外に出て光を浴びる機会も少なくなりがちなことから、体内時計のリズムも乱れやすくなります。

身体的・心理的な要因
腰や背中の痛み、皮膚のかゆみ、前立腺肥大による夜間頻尿などが原因で不眠になることがあります。また、うつ病、糖尿病、高血圧がある人では高い頻度で不眠がみられます。

不眠を改善するには、まず昼間に積極的に活動して、適度な疲労感を得ることです。そうすれば、夜は自然と眠くなります。

次に、体内時計のリズムを整えるため、昼間、特に午前中に光をたくさん浴びることです。睡眠を促す「メラトニン」は、加齢とともに減少しますが、日中に太陽の光を十分浴びることで増加することがわかってきました。逆に、寝る前は部屋の明かりをやや暗めにしましょう。

一般に、高齢になると自由な時間が増えるものです。その分漫然と過ごしたりするのではなく、心から楽しめる趣味などを見つけて、活動的に過ごすと質のよい睡眠につながります。