時差ぼけ:飛行機の長時間移動で、体内時計にズレが生じます

私たちは脳の中に「体内時計」というものを持っており、おおよそ24時間を一周期とする生体リズムをコントロールしています。ところが、海外出張や旅行などで4〜5時間以上の時差のある地域を飛行機で移動すると、体内時計が時差にあわせることができなくなります。急激な移動によって、現地時間と体内時計にズレが生じ、生体リズムが障害されるのです。これがいわゆる「時差ぼけ」のことで時差症候群とも呼ばれています。

時差ぼけの症状で最も多いのは、寝つきが悪くなったり、寝たいときに眠ることができない、すぐに目が覚めてしまうなどの「睡眠障害」です。また、こうした状態が続くと、頭痛やイライラ感、食欲不振、胸やけなどの症状も現れてきます。

時差による睡眠障害は、フライトの方角によって影響されます。日本からアメリカ方向に向かう東回り飛行より、ヨーロッパ方向に向かう西回りの飛行の方が、症状は少なくなります。これは一日の周期を後退させるほうが前進させるよりも、生体リズムに負担が少ないためです。

時差ぼけの対策としては、は出発前の準備と到着後の対処がポイントとなります。まず、出発前には十分な睡眠をとるようにしましょう。東行きの場合は、出発前の数日間は「ベッドに入る時間を一時間ずつ早めておく」と現地での時差との同調がスムーズになります。西行きの場合は、逆に「ベッドに入る時間を少しずつ遅くする」とよいでしょう。

現地に到着したら、アメリカ方面ならすぐに2〜3時間ほどの睡眠をとるようにします。睡眠をとったら眠くてもおきて、戸外で太陽の光を浴びます。これは、目が覚めた直後に光を浴びると、その日眠くなるのが早くなるためです。

逆にヨーロッパ方面であれば、仮眠はとらずに、現地時間に即して活動します。さらに現地では夜は早めにベッドに入ることで、生体リズムは速やかに同調していきます。

不眠、日中の眠気などの症状が重い場合は、睡眠薬を使用します。現地に到着後、超短時間型の睡眠薬トリアゾラムやゾルピデムなどの就寝前内服が効果があります。

近年、脳で分泌されるメラトニンの製剤が、時差ぼけの解消に有効とされていますが、いろいろな生体リズムに影響があるので、使用前には専門医に相談するようにしましょう。特に現地でレンタカーなどを運転する人は注意が必要です。