むずむず脚症候群は足の裏やふくらはぎ、太ももなどに不快感が起こり、じっとしていられなくなる病気で、レストレスレッグス症候群とも呼ばれています。
患者さんによって症状の訴え方はさまざまですが、よく聞かれるのは「足の中を虫が這うような感じがする」「痛い」「かゆい」などの、なんともいえない不快感です。
夕方から夜にかけて症状が起こり、特に寝床に入ってから最も症状が現れやすいのが特徴で、そのために睡眠が十分にとれず、不眠に悩まされることが多くなります。
この病気の歴史は古く、17世紀ごろからその病態が知られていましたが、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)と名づけられたのは、1960年代になってからのことです。
これまで日本人では、患者は極端に少なく、あるいはほとんどいないのではないかと言われており、疾患の知識もほとんど普及していませんでした。そのため、医療機関を受診しても「末梢神経の障害」や「坐骨神経痛」などと診断されることも多くありました。
しかし、最近になって、日本人でも2〜4パーセントの方が、この病気に悩まされていることが明らかになってきました。男性に比べ、女性は1.5倍多いというデータもあります。
この病気は運動に関する情報を脳に伝えるドーパミンという物質の機能低下がおもな原因と考えられていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。
また、パーキンソン病や腎不全、鉄欠乏製貧血などに発症する二次性のむずむず脚症候群の有病率は、欧米とほぼ同程度とされています。加えて、この病気がQOL(生活の質)を阻害するだけでなく、抑うつを生じる可能性があるということも明らかにされており、無視できない病態だととらえられるようになってきました。
そんな状況のなか、2010年1月には、国内初となる治療薬「ビ・シフロール」の保険適用が承認されました。75%以上の患者に症状の改善が見られ、また副作用も少ないのが特徴です。同剤の承認により、日本人における病態研究がさらに加速し、診療体系が決まると期待されています。